IFAD・世銀「資金移動と金融包摂」

IFAD(国際農業開発基金)と世界銀行が公開しているレポートをご紹介いたします。


Transferts d’argent et inclusion financière(PDFファイル)


章構成は以下の通りです。

1. イントロダクション
2. 全般的な傾向
3. 資金移動の送り手と受け手の金融上のニーズと金融包摂への妨げ
4. 市場における供給と競争:アクターと資金移動の利用者の必要から生まれる機会
5. 資金移動の市場における規制の枠組みと環境
6. 基礎的な金融サービスを超えて:祖国に帰還する移民に対する投資の強化
7. 政策と勧告の精緻化のための指導方針


本レポートが特に注目するのは、国際送金の主要なアクターとして、国境を行き交う移民(migrants)がやりとりする資金の経済的なインパクトの大きさです。

移民による国際送金が持つ経済的な効果が、国家(マクロ)・コミュニティ(メゾ)・家計(ミクロ)という区分にしたがい分析されています(p.p 11-12)。


さらに、供給サイド・需要サイドという分類により、資金移動の受け手と送り手が金融包摂の恩恵を受けるための障害が整理されています(p. 39)。



そのうえで、市場ベースで資金移動を活性化するための方策として、以下が挙げられています(pp. 40-46)。

  • 資金移動の市場における競争の促進
  • イノベーションの促進
  • 透明性の促進に加え、消費者保護と送金業者の良き統治の確立


資金移動業者にとっての今日の大きな問題であるde-riskingが、英語のまま紹介されているところが印象に残りました。


移民や送金ビジネスについて勉強中の身ではありますが、付せんを立てた箇所は以下の通りです。

  • 巡回型移動(migration circulaire)(p. 6)
  • 送金業者 (PST: Prestataire de services de transfert d’argent)(p. 7)
  • 送金特化型銀行(banques spécialisées)(p. 7)
  • 資金の送り手の国と受け手の国がそれぞれ評価すべきこと(p. 52)