「革新的なバンキングの経路は規模の縮小でいかにコストを減らすか」

南アフリカ在住の戦略コンサルタントによる論文をご紹介いたします。


How Do Innovative Banking Channels Reduce Costs in Downscaling?(PDFファイル)


当研究会として着目したいのは、ブランチレスバンキングなどの類語の代わりに、「支店の経路を越えた代理店ベースバンキング(ABCs: agent-assisted banking beyond branches channels)」という長ったらしい用語が採用されていることです。

用語の本質的な基礎(ontological basis)にこだわりを持つ著者は、類語の欠点を克服したABCsを使うことを提唱しておりますが(p. 10)、多少舌足らずなところがあっても、強いインパクトを持つ端的な用語を使うほうが好ましいと個人的には考えます。

ブランチレスバンキングに賛意をしめす人々の多くは、「支店によらない」という大胆さに惹かれるのであって、銀行の支店が消滅すると文字通りに信じることはほとんどないと思うからです。


革新的なバンキングモデルがもたらす費用の削減を論じた後半は、内容としては目新しいものはありませんが、全体として非常に手堅く書かれております。

立場に違いはあれ、類語を徹底的に検討したうえで最適な用語を使用しようとする筆者のスタンスにはシンパシーを感じます。