アフリカ開銀「アフリカにおけるファイナンシャルインクルージョン」
アフリカ開発銀行がファイナンシャルインクルージョンをとりあげたレポートを紹介いたします。
Financial Inclusion in Africa(PDFファイル、5.4MB)
全148ページで、3部構成の10章からなるレポートです。
ファイナンシャルインクルージョンの定義や測定に加え、アフリカでの状況が概観される1部のあとの各章で、より詳細な点が論じられています。
前回紹介した世銀・IFCのレポートとの共通点も多くみられますが、そちらとの対比で興味深く読むことができたのは以下の章です。
- 3章 アフリカの中小企業に対するファイナンスを促進する(Fostering Financing for Africa's Small and Medium Enterprises)
- 7章 アフリカにおけるファイナンシャルインクルージョン――技術の変革的な役割――(Financial Inclusion in Africa: The Transformative Role of Technology)
- 8章 アフリカのファイナンシャルインクルージョンに対する開発金融機関の支援(DFIs Support to Financial Inclusion in Africa)
ブランチレスバンキングに言及する7章では、これまでの支払や資金移動と区別されるモバイル金融サービス(MFS)の第二世代として、貯蓄・貸付・マイクロ保険が伸張していることが指摘されています(p. 111)。
8章では、開発金融機関(DFI)によって支援されたファイナンシャルインクルージョンに関連するプロジェクトに、ローン・エクイティ・グラントの順で資金が配賦されていることがしめされています(p.119)。
さらに、モバイルバンキングやモバイル支払いシステム、マイクロファイナンスに対するDFIからのサポートについても記載されています(pp. 121-122)。
ここで割愛した他の章では、脆弱国家におけるファイナンシャルインクルージョンや、農村部と農業のためのファイナンシャルインクルージョンといった開発上の問題が論じられています。
章ごとに、それぞれのテーマに関する課題とそれを乗りこえるための政策上の提言がなされているため、個々の分野で話題になっていることを知るためにも有用なレポートといえます。