CGD「金融包摂と金融完全性のバランスを保つ」

CGD(Center for Global Development)が公開している論文をご紹介いたします。


Balancing Financial Integrity with Financial Inclusion: The Risk-Based Approach to “Know Your Customer”(PDFファイル)


金融規制上の今日的な課題となった金融包摂(financial inclusion)を、金融完全性(financial integrity)とバランスをとりながら推進していこうとするレポートです。

冒頭にて、均整(proportionality)の原則のもと、リスクにもとづいて(risk-based)顧客に対応していこうとする国際的な潮流が確認され、現金決済を置き換える口座間(account-account)送金や、その基盤となる技術の動向に言及がなされています。


従来型の銀行サービスの提供(domestic banking)とモバイルマネーがそれぞれ別の章で扱われ、銀行セクターにおけるコンプライアンス上の課題が体系的に論じられているのが特徴です。

最後の提言では、伝統的な銀行業とモバイルマネーに共通する問題であるKYC(顧客確認)を効果的に行うために、国内IDシステムの整備が推奨されています。


畑違いのためあまり意識したことはなかったのですが、空港で機械が読み取るパスポート(machine-readable passports)は、全世界で通用する唯一の共通IDだそうです(p. 17)。

パスポートのような有効なIDシステムを広く整備するために、世銀や開発銀行やその他の国際機関が共に働くことが提唱されております。


GPFI「グローバルな基準設定機関と金融包摂:展開しつつある展望」
http://d.hatena.ne.jp/branchlessbanking/20160403/1459686456