GSMA「相互運用性のためのオペレーション上のガイドライン:顧客中心アプローチ」
GSMAが公開しているレポートをご紹介いたします。
Operational guidelines for interoperability: A customer-centric approach(PDFファイル)
顧客を中心に据えながら、複数の事業者をまたがる口座間(A2A: Account-to Account)の相互運用性を拡大していくための道筋を明確に描いたレポートです*1。
相互運用性プロジェクトをスムーズに進めていくための見取り図が掲載されています(p. 9)。
見取り図の左側に並べられている職種を担うものとして、次の6つのチームが挙げられています(p. 10)。
- 技術チーム
- 詐欺・リスクチーム
- 財務チーム
- 流通チーム
- マーケティングチーム
- 顧客対応/事務チーム
このうち、2番目の「詐欺・リスクチーム」が担う職務は以下の4つです(p. 11)。
- データセキュリティ/AML(マネーロンダリング対策)
- 当事者同士の係争調停
- 役割・責任/稟議手続き
- 監査
こうした役割分担を踏まえ、顧客に対し最低限保証されるべき基本的な品質として、以下の4つが挙げられております(p. 12)。
- システムの信頼性
- 取引の頑強性
- サービスの利便性
- 利用の透明性
12ページ以降のセクション2では、これらの品質を確保するためにKPIとして設定すべき項目が非常に具体的に提示されています。
たとえば、相互運用性に関連するオペレーション上のリスクや技術的リスクを特定するためのリスクアセスメントの実施では、以下に留意する必要があります(pp. 18-19)。
- 詐欺・リスク管理のための共通ポリシーの合意
- 共通リスク削減計画の定義
- データとシステムセキュリティに関する測定の合意
- リスク事例に対する制裁・違約金・改善計画の策定
28ページ以降では、前述のチームごとの課題がチェックリストとして詳細な一覧になっております。
異なるチームと共同して業務を回していくための実務に最大限に配慮した手引きとして、相互運用性プロジェクトのあらゆる局面で参照されるべきガイドラインです。
*1:A2Aについては、以前の記事で紹介してあります。GSMA『口座間の相互運用性――モバイルマネーの仕組みを相互に利用できるものにする』