CGAP・CFI・ACCION『マイクロファイナンス・エクイティ売却における責任あるエグジットの要領』
CGAP・CFI・ACCIONが公開しているレポートをご紹介いたします。
"The Art of the Responsible Exit in Microfinance Equity Sales"(PDFファイル)
マイクロファイナンスに対するエクイティ投資の出口戦略を論じたレポートで、望ましい売却時期・売却先・売却手法・売却額を考察したあと、個々の事例を分析するという構成をとっています。
エグジットに臨む開発金融機関(DFIs)に向けた「市場の成長のための考察(market development considerations)」や、先を見越した責任あるエグジット(responsible exits)を分析する内容も含まれています。
後者で強調されているのは以下の3点です(p. 11)。
- エグジットに直行するマイクロファイナンス実施機関のアクティブな統治
- 新たなエクイティ投資モデルを開拓する
- バランスのとれたリターンと穏当な成長
以下では、読みながら付せんを立てた箇所を抜粋しておきます。
- プライベートエクイティ投資やベンチャーキャピタル投資と共通する優先交渉権(first refusal rights)がインタビューのなかで頻繁に言及された(p. 6)
- 組織の統治構造のなかに自立した社会的ミッションを組みこむメカニズムは、社会的投資に関して最も理解されない要素のひとつである(p. 7)
- DFIはエントリーの時点で将来のエグジットのオプションを分析し議論するが、その一方で、DFI特有の長期的な時間軸やインセンティブは「エグジットの文化」を弱めうるものである(p. 9)
レポートの最後(pp. 21-22)では、地場商業銀行・持株会社・プライベートエクイティ投資家からのオファーが提示され、これまでの議論を踏まえたうえで、それぞれの社会的ミッションや価格を検討しいずれかを選択するという演習問題が掲載されております。
エグジットまで至った事例はまだ少ない一方で、開発金融機関が手がける案件のなかに、マイクロファイナンス実施機関に対するエクイティ投資を見かけることも多くなりました。
デット寄りの立場ではありますが、レポートで取りあげられている事例やエクイティファイナンス全般について、知識を深めていきたいと感じました。
レポートの結論は、India Microfinanceの記事にごく簡潔にまとめられています。