CGAP「台頭しつつあるモバイルマイクロ保険のグローバルな展望」

CGAPの短いレポートを紹介いたします。


The Emerging Global Landscape of Mobile Microinsurance(PDFファイル)


モバイルマイクロ保険(mobile microinsurance)とは、携帯電話やPOSやRFIDなど、モバイル技術を利用して小規模な保険を提供する事業をさします。

生命・健康・損害・家畜・穀物・旅行など、様々な対象をカバーする保険であるようです。

マイクロファイナンスほどには成熟していない事業であり、現段階ではビジネスモデルも未確立のようですが、サブサハラアフリカで先行的に広がっているといいます。

以下に、レポートからいくつか重要な箇所を抜きだしておきます。

  • 保険会社と通信事業者は、ターゲットとして重なりあわない、保険に未加入であり低収入の顧客をニッチなセグメントとしてモバイルマイクロ保険に取りこもうとしている(p. 2)
  • 最も一般的には、保険料の回収を支援するためにモバイルチャネルが利用されている(p. 3)
  • 意外なことではないが、携帯電話は、基本的な保険契約に関する情報を顧客に伝達するためにも頻繁にもちいられている(p. 3)
  • スターターパックやフリープランなど、マーケティングやプライシング上の戦略が練られている(pp. 3-4)


バンカシュランス*1という言葉があるように、ヨーロッパをはじめとする海外では、日本ほど銀行と保険会社のあいだの垣根(firewall)が高くないようです。

Microsaveのビデオ”Microinsurance Regulation: What drives the sector?”では、規制の衝突(regulatory conflict)という表現がもちいられ、マイクロ保険を監督する当局の棲みわけの難しさが語られています。



課題は山積みされていますが、送金や支払いなどの基本的な金融サービスの次世代にあたるモバイルマイクロ保険が途上国でどのような形に落ちついていくのか、興味が引かれますね。

*1:「バンカシュランスは,広義には,保険会社による銀行業への参入をも意味する。具体的には,保険会社が銀行と提携するか,または銀行子会社を作って,その窓口を通じて保険商品を販売するケースである」(『バンカシュランス戦略』, p. 157)