日本語で読めるブランチレスバンキング

2010年に『ブランチレスバンキングの現状』を公開して以来、ブログや顔をあわせての研究会で、ブランチレスバンキングを日本に紹介する活動をおこなってきました。

この3年のあいだ、当研究会以外にも、ブランチレスバンキングに言及するレポートや論文がいくつも世に現れてきました。

今回の記事では、当ブログで紹介していないものを中心に、ブランチレスバンキングを取りあげた日本語の文献を紹介したいと思います。


外資コンサルティング企業による、金融サービスの未来の形に着目する考察です。金融に対する規制の強化、貿易における南米・アフリカ・アジア・中東(SAAAME)の新興国の台頭、気候や人口構成の変動など、政治や経済のマクロな変化の動向が描写され、これからの金融機関の経営に対する提言がなされています。


他にも、プライスウォーターハウスクーパースのインド支社は、"Carving a new path through innovation"[PDFファイル]というレポートでブランチレスバンキングを取りあげています*1


ファイナンシャルインクルージョンとの関わりのなかで、南米における地域大国としてのブラジルが取りくむ新たな形態の金融が着目されています。

「郵便局を活用するファイナンシャルインクルージョン」でもお知らせしたように、ブランチレスバンキングの代理店(agent)のうち、開発途上国で郵便局は身近なものとして認知されているようです。

当ブログはアフリカの事業を主に紹介していますが、「ブラジルにおけるブランチレスバンキングと消費者保護」に記載したとおり、ブランチレスバンキングはブラジルをはじめとする中南米でも広く普及しはじめています。


タンザニア農林水産業についてのレポートで、人口の多くを占める小規模の農家に対して影響力を持つ金融事業としてブランチレスバンキングが位置づけられています。

タンザニアのBoPビジネスや通信セクターの状況に加え、中小企業(SME)を育成するための施策について知ることができます。


このほか、開発援助機関のクレジットを付したものとしては、国際協力機構 「マイクロファイナンス公開セミナー マイクロファイナンスを活用した貧困削減への取り組み」というシンポジウムの配布資料その1[PDFファイル]に、「支店無き金融」への言及がみられます。


以下では、既に本ブログで紹介させていただいたレポートを再掲します。

実務を担う金融機関や通信事業者に比べ、より間接的な立場にある組織がブランチレスバンキングに着目しているようです。

*1:逆説的に、ブランチレスバンキングの時代における店舗の運営の重要性を強調するものとして、"Rebooting the branch: Reinventing branch banking in a multi-channel, blobal environment"[PDFファイル]というレポートも公開しています。

*2:このレポートは、『国際金融』1245号(25. 2. 1)「サブサハラ・アフリカにおけるモバイルバンキングの拡大」[PDFファイル]で早くも引用されています。