カート・サーモン『モバイルペイメント 「南」から来た革命』
戦略系コンサルティングファームのカート・サーモンによるレポートを紹介いたします。
Mobile paiement… Une révolution venue du « Sud » !(PDFファイル)
地理的にヨーロッパの「南」に位置するアフリカで先行して盛りあがりをみせるモバイルペイメント(mobile paiement, m-paiement)を取りあげたものであり、次のような構成をとっています。
- モバイルペイメント 日常の風景にみられる新たな状況(p.7)
- 単なる流行語か進行中の発展か?(p.17)
- 開発途上国のための真の経済的・社会的飛躍(p.21)
- 成熟した市場における近代性への熱望(p.39)
- 支配的なモデルに期待をもつべきか?(p.51)
- 結論――今日において確かなこととは?(p.59)
通信事業者を中心に、世界中でモバイルペイメントに取りくむ企業が紹介されており、M-PesaやOrangeやG-CashとNTTドコモやGoogleのサービスが併記されているのが興味深いです。
モバイルペイメントの機能に応じたソリューションの類型(p.13)
このほか、例えばルーマニアのマイクロファイナンス実施機関であるgood.beeに言及しながら(p.56)、開発途上国で成功したモデルが「北」に位置するヨーロッパの国々でも適用できることがのべられています。
さらに、「マスの市場を開拓するために必要な手段とは?」(p.63)をはじめとする最終章では、そのための具体的な戦略が描かれています。
このレポートには英語版もあり、開発途上国におけるイノベーションを先進国に輸入する試みをビジネスの観点から分析したものとして、面白く読んでいただけると思います。
カート・サーモンの日本法人のウェブサイトでは、「モバイル決済 2.0 ― 次に来るものは?」と題された記事を日本語で読むことができ、こちらも示唆に富んだ内容です。