(1)世銀グループ「貧困層支援諮問機関(CGAP)」

当ブログでは、「ブランチレスバンキングの最前線」と題した一連の記事において、ブランチレスバンキングの世界的な動向を日本語で発信していきます。


初回となる今回の記事では、CGAPという団体を紹介させていただきます。



CGAPとは、Consultative Group to Assist the Poorの略です。世界銀行グループの研究機関で、金融サービスへのアクセスの提供によって貧困層の生活を改善することに取りくんでいます。非常に日本語に移しづらい名称ですが、暫定的に訳すならば、「貧困層支援諮問機関」といったところでしょう*1


CGAPは、貧困削減(poverty alleviation)をその使命としており、この観点からブランチレスバンキングやマイクロファイナンスに着目しています。各国の政府への政策提言に加え、マイクロファイナンス実施機関(MFI: Microfinance Institution)や、マイクロファイナンスに関心をもつ投資家やドナーに対し助言を提供しています。


CGAPは、インターネットを駆使して活動を公開していることで知られています。たとえば、マイクロファイナンスゲートウェイ(Microfinance Gateway*2というこの業界で著名なウェブサイトはCGAPによって運営されています。CGAP本体のウェブサイトでも、大量の情報を得ることができます。メディアセンタ―(Media Center)*3では、ビデオやポッドキャストも視聴できるようになっています。


CGAPは、マイクロファイナンスとICTの親和性に早くから着目してきた団体です。2008年1月の段階で、ブランチレスバンキングを冠したレポート*4を発表していたことは特筆に値するでしょう。CGAPの定期刊行物であるフォーカスノート(Focus Notes)やテクニカルガイド(Technical Guides)は、ブランチレスバンキングやモバイルバンキングの動向を知るためのなくてはならない情報源であり、PDF形式で公開されています(フォーカスノートのバックナンバーはこちらから、テクニカルガイドのバックナンバーはこちらからご覧になれます)。


CGAPによる刊行物は、英語以外にも、フランス語・スペイン語アラビア語・ロシア語など数多くの言語に翻訳されています。言語の多様性は、CGAPが国際機関の下部組織であることに由来しているのでしょう。いつか日本語でフォーカスノートを読める日が来ることが待ちどおしいです。


CGAPは、紙の印刷物以外にも、ブログやtwitterなどのソーシャルメディアを使って積極的に情報を発信しています。一回当たりの量も少なく、論文やレポートよりも読みやすいので、ブランチレスバンキングに関する知識を手軽に得るために重宝しております。以下では、とくにおすすめなものを紹介いたします。