『マイクロファイナンスの落とし穴 2014』
CSFI(Centre for the Study of Financial Innovation)という非営利のシンクタンクのレポートを紹介させていただきます。
2年前の記事である『マイクロファイナンスの落とし穴 2012』の続編です。
"Microfinance Banana Skins 2014: the CSFI survey of microfinance risk"(PDFファイル)
マイクロファイナンスを取りまくリスクに順序をつけた今回のランキングは次のとおりです(p. 6)。
- 1. 顧客の過剰な債務
- 2. 信用リスク
- 3. 競争
- 4. リスク管理
- 5. ガバナンス
- 6. 戦略
- 7. 政治の介入
- 8. 経営
- 9. 規制
- 10. 人員配置
前回に引きつづき1位となった顧客の過剰な債務(overindebtedness)が、マイクロファイナンスを展開するうえでの大きな課題となっていることが強調されています。
これらのリスクの相関の強さをしめす図も用意されており(p. 12)、実務家と研究者を問わず、興味を引かれるところですね。
前回と同様、世界中のあらゆる組織に対しておこなわれた調査の結果であり、現場からの声が多数盛りこまれています。
マイクロファイナンスに対し技術がもたらす影響についても、”Technology’s promise”(p. 45)で触れられております。
本音を語った部分が面白く、以下に印をつけた箇所を引用しておきますね。
- 過剰な債務(overindebtedness)と多重借りいれ(multiple borrowing)を混同している人がいる(p. 32)。
- 「ファイナンシャルインクルージョン」や「インパクト投資(impact investing)」などの新語や新技術のために、従来のマイクロファイナンス実施機関は「時代遅れになるリスク(obsolescence risk)」を抱えるようになった(p. 39)。
- マイクロファイナンスのキャリアはあまり魅力的ではない(p. 45)
- マイクロファイナンスへの資金供与は潤沢であり、新たな資金供与者は現れつづけている。マイクロファイナンス実施機関の少なさに対して、MIV(マイクロファイナンス投資ヴィークル)は多すぎる(p. 53)。