世界銀行『新版マイクロファイナンス・ハンドブック――金融市場システムの視座――』

1998年に刊行された『マイクロファイナンス・ハンドブック』の新版が、世銀より出版されました。


The New Microfinance Handbook: A Financial Market System Perspective(PDFファイル, 6.9MB)


533ページと大部なもので、全部で19の章からなっています。本の構成は次のとおりです。

  • 1部「需要と金融のエコシステムを理解する」
  • 2部「金融サービスの供給者」
  • 3部「金融サービスと伝達の経路」
  • 4部「規模とサステナビリティのための組織のマネジメント」
  • 5部「ファイナンシャルインクルージョンを支える」


冒頭で、旧版が刊行されてから15年のあいだに、ファイナンシャルインクルージョンが政策上の課題として認識されるようになったことが記されています。

そうした認識のもとに、顧客を前面に出し、市場がいかに顧客のニーズを満たすことができるかを考察する、需要側(demand side)の立場から編まれた本です。


ファイナンシャルインクルージョンの増進という文脈で、従来とは異なる経路で届けられる金融に焦点が当てられており、"Banking without Branches"(p.64)以下の数節や"Branchless banking in Brazil"(p.291)では、ブランチレスバンキングが詳細に取りあげられています。

13章"Beyond Products: Building Integrated Customer Experiences on Mobile Phones"が「ブランチレスバンキングの早期経験」の著者であるIgnacio Masによって執筆されていることからも、金融サービスの新たな経路への期待を読みとることができます。


分厚い本であり、現段階では概略的な解説しかできませんが、この分野で話題になっていることを知るために不可欠の本となるでしょう。

書籍版もAmazonで購入できますので、ご興味のある方はどうぞご覧になってください。


The New Microfinance Handbook: A Financial Market System Perspective